ニッケルメッキの膜厚実測データ|108点測定・工程能力・膜厚ばらつきを公開

ニッケルメッキの膜厚実測データ|目標2μm・108点測定・工程能力

電気ニッケルメッキでは、要求された膜厚を確保するだけでなく、製品全体でどの程度の膜厚分布が生じているかを確認することが重要です。株式会社コダマでは、実際の加工条件におけるニッケルメッキの膜厚分布を確認するため、銅板(200×200×t2mm)を使用し、目標膜厚2μm、規格1~3μmの条件で膜厚測定を行いました。

サンプルA~Fの6枚について、1枚あたり表面9点・裏面9点の合計18点、合計108点を測定しています。その結果、今回の108点では膜厚は1.01~1.84μm、平均1.374μm、標準偏差0.186μmとなり、108点すべてが規格1~3μmの範囲内でした。  ニッケルメッキの詳細はこちらでご覧いただけます。

 

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ニッケルメッキ膜厚測定の試験条件

項目 試験条件
メッキ種類 電気ニッケルメッキ
素材
板寸法 200×200×t2mm
目標膜厚 2.0μm
規格範囲 1.0~3.0μm
サンプル数 6枚(A~F)
測定箇所 1枚あたり表面9点・裏面9点
1枚あたり測定数 18点
総測定数 108点
蛍光X線膜厚測定器 フィッシャー社 XDAL-FD

※本データは特定の加工条件における実加工結果です。製品形状、材質、寸法、治具、電流密度、処理条件などにより膜厚分布は異なります。

ニッケルメッキ膜厚の測定位置

各サンプルについて、表面9点・ 裏面9点の合計18点を測定しました。 6サンプルで合計108点となります。

膜厚測定ポイント

6サンプル表面9点の膜厚測定結果 54ポイント 単位:μm 

測定位置 サンプルA サンプルB サンプルC サンプルD サンプルE サンプルF
1.42 1.14 1.51 1.34 1.53 1.1
1.60 1.29 1.55 1.56 1.58 1.06
1.10 1.16 1.19 1.39 1.3 1.04
1.26 1.18 1.26 1.38 1.41 1.31
1.59 1.56 1.37 1.55 1.42 1.41
1.17 1.31 1.51 1.3 1.36 1.34
1.31 1.25 1.49 1.16 1.35 1.28
1.73 1.65 1.53 1.28 1.49 1.52
1.43 1.54 1.43 1.12 1.26 1.84

表面は各サンプル9点、6サンプル合計54点を測定しました。表面54点では、最小1.04μm、最大1.84μm、平均1.374μmとなりました。

 

6サンプル裏面9点の膜厚測定結果 54ポイント 単位:μm

測定位置 サンプルA サンプルB サンプルC サンプルD サンプルE サンプルF
1 1.59 1.02 1.39 1.29 1.23 1.68
2 1.61 1.03 1.72 1.66 1.62 1.61
3 1.37 1.01 1.55 1.37 1.34 1.32
4 1.54 1.45 1.44 1.31 1.17 1.59
5 1.41 1.44 1.52 1.42 1.58 1.52
6 1.26 1.17 1.29 1.27 1.22 1.27
7 1.46 1.4 1.19 1.14 1.24 1.13
8 1.61 1.64 1.49 1.02 1.73 1.38
9 1.23 1.22 1.49 1.03 1.26 1.21

裏面についても各サンプル9点、6サンプル合計54点を測定しました。裏面54点では、最小1.01μm、最大1.73μm、平均1.373μmとなりました。

項目 測定結果
目標膜厚 2.0μm
規格範囲 1.0~3.0μm
測定数 108点
最小膜厚 1.01μm
最大膜厚 1.84μm
平均膜厚 1.374μm
標準偏差 0.186μm
規格内測定数 108 / 108点
規格内率 100%
Cp 1.80
Cpk 0.67

今回測定した108点は、すべて規格1.0~3.0μmの範囲内となりました。一方、平均膜厚は1.374μmとなり、目標膜厚2.0μmに対して規格下限側へ寄った分布となっています。工程能力指数はCp=1.80、Cpk=0.67となりました。Cpは規格幅に対するばらつきの大きさを示し、Cpkは平均値の規格中心からの偏りも含めて評価する指標です。今回の結果では、ばらつきそのものに対して規格幅には余裕がある一方、平均膜厚が規格中心の2.0μmより下側に位置しているため、CpkはCpより低い値となっています。 ニッケルメッキの詳細はこちらでご覧いただけます。

表面と裏面の膜厚を比較

測定面 測定数 最小膜厚 最大膜厚 平均膜厚 標準偏差
表面 54点 1.04μm 1.84μm 1.374μm 0.175μm
裏面 54点 1.01μm 1.73μm 1.373μm 0.196μm

今回の測定では、表面の平均膜厚が1.374μm、裏面が1.373μmとなり、表面と裏面の平均膜厚にはほとんど差が見られませんでした。一方で、個々の測定位置では1.01~1.84μmの膜厚差が確認されています。

電気ニッケルメッキではなぜ膜厚分布が生じるのか

電気ニッケルメッキでは、製品の形状や治具への取り付け位置、電流分布などによって膜厚差が生じます。一般に、端部や角部など電流が集中しやすい部分はメッキが厚くなりやすく、電流が回り込みにくい部分では薄くなる傾向があります。そのため、膜厚品質を評価する場合には、平均値だけではなく、最小膜厚・最大膜厚・定位置ごとの膜厚分布・製品間のばらつき・規格に対する工程能力まで確認することが重要です。

CpとCpkから今回の測定結果を評価

今回の実測データでは、Cpは1.80、Cpkは0.67となりました。Cp=1.80は、今回の測定値のばらつき幅に対して、規格1~3μmの幅には余裕があることを示しています。一方、Cpk=0.67となったのは、平均膜厚1.374μmが規格中心である2.0μmより下限側に位置しているためです。

つまり今回のデータでは、「測定値のばらつきが極端に大きい」というより、膜厚分布全体が目標値2μmより薄い側に寄っていることが特徴として確認できます。このように、平均・標準偏差・Cp・Cpkまで確認することで、単に「規格内だった」という結果だけでは分からない工程の状態を数値で評価できます。

今回のニッケルメッキ実測データまとめ

  • 素材:銅
  • 板寸法:200×200×t2mm
  • 目標膜厚:2.0μm
  • 規格:1.0~3.0μm
  • サンプル:6枚
  • 測定数:108点
  • 最小:1.01μm
  • 最大:1.84μm
  • 平均:1.374μm
  • 標準偏差:0.186μm
  • 規格内率:100%
  • Cp:1.80
  • Cpk:0.67

今回の108点はすべて規格内となりましたが、平均膜厚は目標2μmより薄い側に分布しました。実際の量産品質を評価する場合は、合否だけでなく、平均値や膜厚分布、工程能力まで確認することが重要です。

ニッケルメッキの膜厚についてよくある質問

今回の108点はすべて規格内ですか?

はい。今回の測定値は1.01~1.84μmとなり、108点すべてが規格1.0~3.0μmの範囲内でした。

規格内率100%なのにCpkが0.67なのはなぜですか?

Cpkは規格に入っているかどうかだけではなく、平均値が規格中心からどの程度ずれているかも評価します。今回の平均膜厚は1.374μmで、規格中心および目標膜厚の2.0μmより下側に寄っているため、Cp1.80に対してCpkは0.67となりました。

平均膜厚だけ確認すれば十分ですか?

製品形状や要求仕様によっては、平均値だけでなく最小膜厚や最大膜厚、重要部位の膜厚を確認する必要があります。今回も平均は1.374μmですが、個別測定値には1.01~1.84μmの分布がありました。

ニッケルメッキは表面と裏面で膜厚が変わりますか?

製品形状や治具、電流分布などによって変化する場合があります。今回の200×200×t2mm銅板では、表面平均1.374μm、裏面平均1.373μmとなり、平均値にはほとんど差がありませんでした。

ニッケルメッキの膜厚管理・量産加工についてご相談ください

株式会社コダマでは、ニッケルメッキの試作から量産加工まで対応しています。指定膜厚での加工、複数箇所の膜厚確認、量産時の膜厚管理などについても、図面・材質・形状・数量・要求膜厚・膜厚公差などを確認したうえで検討いたします。本ページに掲載している数値は、株式会社コダマが実加工したサンプルを測定した結果です。特定条件での実績データであり、すべての製品や加工条件で同じ結果を保証するものではありません。

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この記事の技術監修者:株式会社コダマ 児玉義弘 特級めっき技能士 実務経験30年以上

ニッケルメッキの記事の技術監修者 特級めっき技能士 児玉義弘
株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 特級めっき技能士 実務経験30年以上・毒物劇物取扱責任者・公害防止管理者(水質2種)

 

株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘
特級めっき技能士

めっき加工の実務経験30年以上。無光沢ニッケルメッキ、光沢ニッケルメッキをはじめ、金・銀・スズ・銅メッキなどの工業用表面処理について、製造、品質保証、加工仕様の検討、技術提案に携わってきました。

大学卒業後、電子部品のめっき加工を得意とする東京都内のめっきメーカーで、ニッケル・金・銀・スズ・銅メッキの加工技術と品質管理を学びました。その後、株式会社コダマにて、製造現場、品質保証、営業、技術相談を経験しています。

本ページでは、ニッケルメッキの膜厚実測データ|108点測定・工程能力・膜厚ばらつき、品質管理に関する技術情報を確認・監修しています。

保有資格

  • 特級めっき技能士   ・ 毒物劇物取扱責任者 ・ 公害防止管理者 水質関係第2種

主な専門分野

  • 無光沢ニッケルメッキ、光沢ニッケルメッキ
  • スルファミン酸ニッケルメッキの仕様選定
  • 金・銀・スズメッキの下地ニッケル処理
  • 膜厚、硬度、密着性、内部応力の管理
  • カシメ、曲げ、ロウ付け、溶接を伴う製品への対応
  • シミ、変色、割れ、密着不良の原因調査

最終確認日:2026年8月24日

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