無電解ニッケルメッキは、複雑な形状の製品にも比較的均一な皮膜を形成できることが特長です。今回は、膜厚12μmを狙って無電解ニッケルメッキを施工したパイプ製品12個について、外径3ポイント・内径3ポイントの膜厚を測定しました。外径だけでなく、パイプを半割にして内径部の膜厚も実測し、外径と内径でどの程度の膜厚差・どの程度の膜厚均一性か・バラツキが生じているのかを確認しました。


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メッキ種類 | 無電解ニッケルメッキ 中リン |
| 狙い膜厚 | 12μm程度 |
| サンプル数 | 12個 |
| 製品寸法 | L70 × 外径φ10 × 内径φ8 |
| 測定ポイント | 外径3点・内径3点 |
| 測定総数 | 72点 |
| 内径測定 | パイプを半割に切断して測定 |
| 蛍光X線膜厚測定器 | フィッシャー社 XDAL-FD |
※本データは特定の素材・形状・加工条件における実加工結果です。製品形状、材質、治具、処理条件、要求仕様などにより膜厚分布は異なります。
測定結果
12個×6ポイント、合計72点の膜厚を測定しました。
外径部 外径36点の平均:12.71μm
|
測定位置 |
平均膜厚 | 最小 | 最大 |
|---|---|---|---|
| 外径1 | 12.68μm | 12.2 | 13.2 |
| 外径2 | 12.75μm | 12.2 | 13.5 |
| 外径3 | 12.70μm | 12.3 | 13.7 |
内径部 内径36点の平均:11.80μm
| 測定位置 | 平均膜厚 | 最小 | 最大 |
|---|---|---|---|
| 内径4 | 11.80μm | 11.2 | 12.8 |
| 内径5 | 11.79μm | 11.3 | 12.9 |
| 内径6 | 11.82μm | 11.3 | 12.6 |
72点全体の測定結果
狙い膜厚:12μm 測定値:11.2~13.7μm 72点平均:12.26μmという結果になりました。
特に測定位置ごとの平均値を見ると、
- 外径1:12.68μm
- 外径2:12.75μm
- 外径3:12.70μm
- 内径4:11.80μm
- 内径5:11.79μm
- 内径6:11.82μm
となっています。外径3ポイント間、内径3ポイント間では、それぞれ平均値が近い結果となりました。一方で、外径36点の平均が12.71μm、内径36点の平均が11.80μmとなり、今回の試験条件では外径と内径の間に平均約0.91μmの差が確認されました。
外径と内径の膜厚を比較
| 外径 | 内径 | |
|---|---|---|
| 測定数 | 36点 | 36点 |
| 平均膜厚 | 12.71μm | 11.80μm |
| 最小値 | 12.2μm | 11.2μm |
| 最大値 | 13.7μm | 12.9μm |
| 標準偏差 | 約0.33μm | 約0.47μm |
今回の測定では、内径部の方が外径部より若干バラツキが大きい結果となりました。ただし、今回のデータは「12μm狙い」での実測結果であり、製品の合否を判定する規格値を設定した試験ではありません。
なぜ内径まで測定するのか
パイプ形状の部品では、外側の膜厚だけを確認しても、内径部まで同じように皮膜が形成されているかは判断できません。そこでコダマでは今回、製品を半割に切断し、通常は測定しにくいパイプ内径部についても直接膜厚を測定しました。これにより、外径部の膜厚、内径部の膜厚、測定位置による差、製品ごとのバラツキを数値として確認できます。
今回の実測から分かったこと
今回の無電解ニッケルメッキ12μm狙いの試験では、72点の測定値は11.2~13.7μmでした。また、測定位置ごとの平均値は、外径:12.68~12.75μm、内径:11.79~11.82μmとなりました。特に同じ外径3ポイント間、内径3ポイント間では平均値が近く、製品のどの位置で膜厚差が生じているのかを定量的に把握することができました。コダマでは、このように実際の加工品を測定し、データを蓄積しながらメッキ条件や品質管理の改善に取り組んでいます。
無電解ニッケルメッキの膜厚についてよくある質問
Q. 無電解ニッケルメッキは内径にも施工できますか?
製品形状、内径寸法、深さ、要求膜厚などによって条件が異なります。今回のようなパイプ形状についても、製品形状を確認したうえで加工可否をご提案します。
Q. 12μm以外の膜厚にも対応できますか?
要求される用途や仕様に応じて検討します。必要な膜厚、材質、製品形状、数量などをお知らせください。
Q. 内径部の膜厚も確認できますか?
形状や測定方法によりますが、今回の試験ではパイプを半割に切断し、内径部3ポイントを実測しています。初期流動管理にて、内径の膜厚は切断して測定しましたが、通常管理では測定していません。
Q. 図面段階でも相談できますか?
可能です。材質、形状、要求膜厚、数量などが分かる図面をお送りいただければ、加工方法について検討します。
無電解ニッケルメッキのご相談
「内径まで必要な膜厚を確保できるか確認したい」「量産時の膜厚バラツキについて相談したい」「現在使用しているメッキ仕様を見直したい」といったご相談も承ります。製品図面や現在の仕様がございましたら、添付してお問い合わせください。

この記事の技術監修者:株式会社コダマ 児玉義弘 特級めっき技能士 実務経験30年以上
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株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 めっき加工の実務経験は30年以上。金メッキ、銀メッキ、スズメッキ、ニッケルメッキ、銅メッキをはじめとする工業用表面処理について、加工条件の検討、品質管理、不具合対策、技術相談に携わってきました。 大学卒業後、電子部品のめっき加工を得意とする東京都内のめっきメーカーで、金・銀・スズ・ニッケル・銅メッキの加工技術と品質管理を学びました。その後、株式会社コダマにて、製造現場、品質保証、営業、技術提案を経験しています。 無電解ニッケルメッキでは、低リン・中リン・高リンタイプの選定、要求膜厚に対する膜厚管理、複雑形状品の膜厚均一性、アルミ・鉄・ステンレス・銅合金など素材に応じた前処理、耐食性・耐摩耗性の向上について、お客様の用途と要求性能を確認したうえで加工仕様をご提案しています。 保有資格
主な専門分野
本ページでは、無電解ニッケルメッキの膜厚について、技術的な内容を確認・監修しています。 最終確認日:2026年9月7日 |

