素材金属や状態別、メッキの前処理の注意点(浸炭防止 銅メッキ・窒化防止 ニッケル・錫メッキ)

鋳造製品(鋳物)に対するメッキ前処理の注意点

鋳造とは、鉄やアルミや銅などの合金を溶融したものを、型の空洞部分へ流し込み冷やし固める加工法をいいます。鋳造されたものは、鋳物 (いもの)と呼ばれます。

 

鋳鉄に対するメッキ前処理の注意点:鋳鉄は成分の中にケイ素が多く含まれているので、フッ化物を添加した無機酸で処理します。

 

黄銅鋳物に対するメッキ前処理の注意点:黄銅鋳物は成分に鉛があるので、下地にシアン化銅ストライクメッキすることが望ましい。

 

亜鉛ダイカストに対するメッキ前処理の注意点:亜鉛ダイカストの表層は緻密なチル層が0.2mmあるので、この層を取り除くためのバフ研磨を行うときはエメリーバフの粒度を250番より細かいエメリーにする。下地にシアン化銅ストライクメッキすることが望ましい。

鋳物 参考画像

鋳物 溶けた鉄などを流して固める工法

 

溶接部品に対するメッキ前処理の注意点

・スポット溶接: スポット溶接面はバフ研磨加工や酸洗をして、酸化膜の除去をすることがポイントです。

・ガス溶接、アーク溶接、硬ろう付け: これらの溶接はカスが生じるのでバフ研磨加工やフッ酸で完全に除去する必要があります。

焼結部品に対するメッキ前処理の注意点

表面が多孔質で、内部まで隙間が多く通常のメッキ前処理では困難です。対策として、隙間にプラスチックなどを充てんしメッキ後に充填物を取り出すなどの処置があります。

熱処理部品に対するメッキ前処理の注意点

表面硬化を部分的に防ぐ目的で浸炭および窒化防止のメッキを行っています。それぞれのメッキの種類は下記になります。

 

浸炭防止:銅メッキ

窒化防止:ニッケルメッキ錫メッキ

 

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特級めっき技能士 児玉義弘
株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 特級めっき技能士・毒物劇物取扱責任者・公害防止管理者(水質2種)

職人が語るコラム 解説者

めっき職歴30年以上 父が創業のメッキ加工工場で小学生の時からラッキング作業・メッキ加工に関わる。大学卒業後は、電子部品のメッキ加工を得意とされる東京のメッキメーカーにて修行し、メッキ技術と経営ノウハウを学ぶ。

コダマ入社以来、現場、品質保証、新規営業を担当し、現在は新卒採用活動、新規事業の検討、戦略の立案などに注力している。

 

 

 

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