無電解ニッケルとベーキング処理(熱処理)による密着性向上
メッキ加工後の後処理としてベーキング処理(熱処理)を、水素脆性除去、内部応力の緩和、および拡散に伴う密着性の向上、硬度UPによる耐摩耗性の向上を目的に行う場合がある。ここでは、無電解ニッケルメッキの密着性を向上させる方法を紹介します。 無電解ニッケルメッキの詳細ページへ
テストピース 無電解ニッケルメッキ加工後に密着性向上を目的で ベーキング処理210℃ 1時間
無電解ニッケルの密着性を向上させるためのベーキング条件
素材 | ベーキング温度 | 加熱時間 |
鉄及び鉄合金 |
210℃±10℃ |
1~1.5時間 |
銅及び銅合金 |
190℃±10℃ |
1~1.5時間 |
アルミ及びアルミニウム合金 |
130℃±10℃(熱処理合金材) 160℃±10℃(非熱処理合金材) |
1~1.5時間 1~1.5時間 |
ベーキング処理以外に密着性を高める方法は、素材表面に凹凸を作りアンカー効果により密着性が高くなる方法がある。
析出硬化 無電解ニッケルとベーキング処理(熱処理)による硬度アップ
メッキ加工後の後処理としてベーキング処理(熱処理)を施し、硬度UPによる耐摩耗性の向上を目的に行う場合がある。無電解ニッケルメッキ(中りんタイプ 約8%)と無電解ニッケルメッキ(高りんタイプ 約14%)に違いで硬さも少し変わってきます。
熱処理温度(1時間保持) ℃ |
無電解ニッケル(りん含有率約8%)の硬さHv |
無電解ニッケル(りん含有率約14%)の硬さHv |
メッキ析出状態(熱処理なし) |
550Hv |
590Hv |
200℃ |
560Hv |
660Hv |
300℃ |
790Hv | 820Hv |
400℃ |
940Hv | 1020Hv |
![]() 株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 特級めっき技能士・毒物劇物取扱責任者・公害防止管理者(水質2種) |
職人が語るコラム 解説者めっき職歴30年以上 父が創業のメッキ加工工場で小学生の時からラッキング作業・メッキ加工に関わる。大学卒業後は、電子部品のメッキ加工を得意とされる東京のメッキメーカーにて修行し、メッキ技術と経営ノウハウを学ぶ。 コダマ入社以来、現場、品質保証、新規営業を担当し、現在は新卒採用活動、新規事業の検討、戦略の立案などに注力している。
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