同じメッキ皮膜でも機能や性格が違う。なぜでしょか。それは、メッキ加工された皮膜には、どのように処理されたか。電解浴か無電解浴か、浴の種類の違い、(酸性浴、中性浴、アルカリ性浴)か、さらには光沢浴、半光沢浴、無光沢浴の違い、添加剤の種類、素地の表面状態など多くの因子が皮膜のミクロな表面状によって析出する皮膜は同じメッキ皮膜でも、外観や結晶構造が大きく異なるものなのです。
無光沢 純金メッキ
その理由は、金属イオンが溶液中でどのような状況に置かれているか。そして還元反応がどのようなプロセスを経て行われるのかにあります。例えるなら、人の肉体的特徴や性格が先祖から受け継ぐDNAだけで決定されるわけではなく、成長する過程の環境の違いによって、かなりの部分、変わる可能性があるということです。
光沢 硬質金メッキ
すなわち金属にとって、 DNAは「金属本来の性質」であり、環境は「溶液と添加剤、析出反応条件」ということでしようか。例えば、光沢浴と半光沢浴からの析出皮膜の違うダブルニッケルメッキは、同じニッケルメッキでも、異なる結晶構造が形成されます。この違いより、高耐食性が得られます。
例えば、金メッキを依頼される際は、業界、使われる用途などを詳しくメッキメーカーに相談すると、純金メッキが適切なのか、硬質金メッキが適切なのか、アドバイス頂けると思います。
参考文献:機能めっき 基礎のきそ プレーティング研究会【編】 金メッキ加工の詳細
![]() 株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 特級めっき技能士・毒物劇物取扱責任者・公害防止管理者(水質2種) |
職人が語るコラム 解説者めっき職歴30年以上 父が創業のメッキ加工工場で小学生の時からラッキング作業・メッキ加工に関わる。大学卒業後は、電子部品のメッキ加工を得意とされる東京のメッキメーカーにて修行し、メッキ技術と経営ノウハウを学ぶ。 コダマ入社以来、現場、品質保証、新規営業を担当し、現在は新卒採用活動、新規事業の検討、戦略の立案などに注力している。
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