はんだ濡れ性とボンディング性の違い|金メッキ・錫メッキに求められる接合性

はんだ濡れ性とは

はんだ濡れ性とは、溶けたはんだがメッキ表面に広がり、母材や相手材と接合しやすい状態になる性質のことです。はんだが玉状にはじかれる場合は、濡れ性が悪く、接合強度不足や導通不良の原因になります。はんだ濡れ性は、はんだ材料を溶かして金属同士を接合する性能です。はんだ付けとは文字通り、 はんだという材料を仲人役にして450 ℃未満の温度で金属と金属を接合する技術です。代表的なはんだ材料がすずー鉛(Sn63-Pb37)の合金で、融点が183 ℃と低く、昔から広く利用されてきました。 

はんだ付けの原理

はんだ付けの原理は、接合する金属と接合したい相手金属の間にはんだ材料を置き、はんだゴテによりはんだ材料を溶融させて、界面で合金化することで接合します。はんだが接合したい金属面に濡れる(濡れ)はんだを溶かすことで金属と混じりあう(拡散)はんだが固まって金属同士が接合する(合金化)、という工程になります。はんだ付けで大切なことは、はんだ材料が金属面によく濡れるようにすることです。これを「はんだ濡れ性」と呼んでおり、メッキでは大切な特性の一つになります。導電性や接合性を重視する部品では、銀メッキ加工も選択肢になります。

 

メッキ加工では、錫メッキ、金メッキ、銀メッキ、銅メッキなどが、はんだ付け性を目的として選ばれることがあります。特に電子部品、端子、コネクタ、バスバー、リードフレームなどでは、はんだ濡れ性は重要な品質項目です。

ボンディング性とは

一方、ボンディング性とは、金線・銀線・アルミ線などをメッキ表面に接合しやすい性質のことです。半導体部品や電子部品では、ワイヤーボンディングによってチップとリードフレーム、端子、基板などを電気的に接続します。ボンディング性は、金線や銀線などを超音波・熱・圧力などでメッキ表面に接合する性能です。ボンディング性が必要な電子部品には、金メッキ加工が採用されることがあります。

ボンディングとは、主に半導体チップと電気的な接点となるリードという足を多数備えたフレームとを極細の金線を使って超高速で接合する技術です。超音波を利用して、素子の電極部(金メッキ端子部)と基板とを金線により、圧着、接続します。ワイヤーボンディングとも呼ばれています。半導体では欠かすことのできない技術です。

 

 

接合不良の原因

接合不良の原因には、メッキ表面の酸化、皮膜の汚れ、下地メッキとの相性、膜厚不足、保管中の変色、前処理不足などがあります。特に錫メッキは、はんだ付け性に優れる一方で、表面状態や保管環境によって性能が変化する場合があります。金メッキは酸化しにくく、はんだ濡れ性やボンディング性が求められる精密部品に使用されます。

 

メッキ仕様を決める際の注意点

メッキ仕様を決める際は、「はんだ付けをするのか」「ワイヤーボンディングをするのか」「相手材は何か」「必要な膜厚はどれくらいか」「量産後の保管期間はどれくらいか」を確認することが重要です。用途に合わないメッキを選ぶと、接合不良、導通不良、外観不良、量産時の歩留まり低下につながることがあります。

株式会社コダマでは、金メッキ銀メッキ錫メッキ銅メッキ無電解ニッケルボロンメッキなど、接合性が求められる部品へのメッキ加工に対応しています。はんだ濡れ性やボンディング性でお困りの場合は、材質・形状・用途・必要膜厚・数量を確認したうえで、適切なメッキ仕様をご提案します。 コダマのメッキ加工の品質管理・品質保証 世界基準の認証 × 現場力 

はんだ濡れ性とボンディング性の比較表

項目 はんだ濡れ性 ボンディング性
目的 はんだで金属同士を接合する 金線・銀線・アルミ線などを接合する
主な用途 端子、コネクタ、基板部品、バスバー 半導体、リードフレーム、電子部品
関係するメッキ 錫メッキ、金メッキ、銀メッキ、銅メッキ 金メッキ、銀メッキ、無電解ニッケルボロンなど
不良例 はんだが乗らない、はじく、接合強度不足 ワイヤーが付かない、剥がれる、導通不良
注意点 酸化、保管期間、膜厚、表面汚れ 表面清浄度、硬さ、下地、膜厚管理

 

はんだ濡れとボンディング性のQ&A

Q. はんだ濡れ性とは何ですか?
A. 溶けたはんだがメッキ表面に広がり、金属と接合しやすい性質のことです。

Q. はんだ付け性に向いているメッキは何ですか?
A. 錫メッキ、金メッキ、銀メッキ、銅メッキなどが使われます。用途や相手材によって適した仕様は変わります。

Q. ボンディング性に向いているメッキは何ですか?
A. 金メッキや銀メッキが代表的です。半導体部品や電子部品では、表面状態や膜厚管理が重要になります。

Q. はんだ濡れ性とボンディング性の違いは何ですか?
A. はんだ濡れ性は、はんだを使って接合する性能です。ボンディング性は、金線や銀線などをメッキ表面に接合する性能です。

Q. メッキ後にはんだが乗らない原因は何ですか?
A. 表面酸化、汚れ、前処理不足、膜厚不足、保管環境、メッキ仕様の不適合などが原因になります。

Q. 金メッキははんだ付けできますか?
A. 可能です。ただし、膜厚や下地メッキ、使用するはんだ材、加熱条件によって結果が変わるため、事前確認が重要です。

 

 

 

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特級めっき技能士 児玉義弘
株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 特級めっき技能士・毒物劇物取扱責任者・公害防止管理者(水質2種)

職人が語るコラム 解説者

めっき職歴30年以上 父が創業のメッキ加工工場で小学生の時からラッキング作業・メッキ加工に関わる。大学卒業後は、電子部品のメッキ加工を得意とされる東京のメッキメーカーにて修行し、メッキ技術と経営ノウハウを学ぶ。

コダマ入社以来、現場、品質保証、新規営業を担当し、現在は新卒採用活動、新規事業の検討、戦略の立案などに注力している。

 

 

 

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