金は、古くから価値の象徴として知られる金属ですが、工業分野――とくに電子部品や端子の表面処理・メッキの世界では、きわめて実用的な機能材料として使われています。図面や仕様書に現れる「Au」という2文字には、品質・信頼性・コストが凝縮されています。
図面に書かれる「Au0.5」の意味
金の元素記号は Au。
これはラテン語 Aurum(輝く金属)に由来します。
メッキ図面では例えば
-
Au0.5 → 金メッキ厚さ 0.5µm
というように、元素記号を用いて表記されることが多くあります。
英語の Gold plating や Gold plate といった表現は、日本の製造図面ではあまり使われず、
-
Auメッキ
-
Ni/Au(下地ニッケル+金)
といった元素記号ベースの表記が一般的です。
金の比重19.32 ― 数字が語る「異常な重さ」
金の比重は 19.32。
これは「水=1」とした場合の密度比を表します。
比重とは、物体の体積あたりの質量を、基準密度と比較した数値です。
-
基準:4℃の水 → 1cm³ ≒ 1g(比重1)
-
単位なし(密度の比なので)
つまり、
-
比重 1より大きい → 水より重く沈む
-
比重 1より小さい → 水より軽く浮く
ということになります。
金の場合は 19.32。 これは鉄の 7.87 と比べても桁違いに重く、同じ体積なら鉄の約2.5倍以上の重さになります。
タングステンとの“ほぼ同じ重さ”が生んだ話
興味深いのは、タングステンの比重が 19.3 と金に非常に近いことです。
このため過去には
-
タングステンを芯に使い
-
表面に金メッキを施し
-
金の延べ棒に見せかける
という偽造事件が報告されたこともあります。
それほどまでに、金の比重は金属の中でも極端に大きいのです。
融点1064℃ ― 金メッキが安定する理由
金の融点は 1064℃。
比較的高い融点を持ちながら、
-
酸化しにくい
-
電気抵抗が低い
-
接触信頼性が高い
という性質を併せ持つため、
✔ コネクタ端子 ✔ 電子部品 ✔ 高信頼接点
などで金メッキが不可欠な材料になっています。
まとめ:Auという2文字に詰まった機能材料
図面に記される「Au」は単なる元素記号ではなく、
-
高密度(比重19.32)
-
高融点(1064℃)
-
優れた耐食性・導電性
という特性を持つ、信頼性を保証する機能材料の記号です。
メッキ厚さ0.5µmの指定一つでも、そこにはコスト設計・接触寿命・品質保証の思想が反映されています。

金メッキ(純金・硬質金)の特長や加工工程・事例などは、こちらでご覧いただけます
その他の金メッキのQ&A(問題解決事例 多数掲載)は、こちらをご覧ください
金メッキ加工の関連動画 金メッキ加工 これってどんな作業していますか?

