三価クロムメッキ(六価クロムを使わないクロムメッキ)
クロムメッキは硬くて光沢があり、耐食性も良いことから、装飾用途、工業用途で広く使用されています。クロムメッキはクロム酸という薬品を使います。これが有害な六価クロム塩であって、発がん性や地下水の汚染など、強い毒性から厳しい規制が行われています。メッキ液に六価クロムを使用していても、析出するクロム皮膜は六価クロムを含まず、毒性はありません。 しかし、メッキ加工作業者の健康被害、作業環境の観点から六価クロムを使用しないクロムメッキに切り替えていこうという動きが世界的に始まっています。
メッキ液に六価クロム塩を含まないメッキ液は、三価クロム塩を含んだものを使用します。三価クロム塩は毒性が低く、メッキ加工作業者の作業環境も改善され、排水処理なども容易になります。三価クロムメッキは装飾目的の薄い膜厚での利用が一般的です。工業用途の厚付け、硬質クロムの代替としても可能な皮膜が出てきました。
硬質クロムメッキ浴(六価クロム塩を含む)
六価クロムメッキと三価クロムメッキのメリット・デメリット比較
メリット | デメリット | |
六価クロムメッキ | 耐摩耗、皮膜の耐酸化性に優れています。厚付けメッキも可能 | メッキ液に六価クロムを含み、毒性が高い。土壌汚染、地下水汚染の恐れがある。皮膜の均一電着性に劣る。 |
三価クロムメッキ | メッキ液に六価クロムを含まないので、毒性が低い。メッキ加工作業者の健康被害も低く、ミストの発生など少なく、排水処理も容易。 | 皮膜の耐酸化性に劣るので、後処理を必要とする。管理が難しい。メッキ液が高価。 |
参考文献:めっき 基礎のきそ プレーティング研究会 編
![]() 株式会社コダマ 専務取締役 児玉義弘 特級めっき技能士・毒物劇物取扱責任者・公害防止管理者(水質2種) |
職人が語るコラム 解説者めっき職歴30年以上 父が創業のメッキ加工工場で小学生の時からラッキング作業・メッキ加工に関わる。大学卒業後は、電子部品のメッキ加工を得意とされる東京のメッキメーカーにて修行し、メッキ技術と経営ノウハウを学ぶ。 コダマ入社以来、現場、品質保証、新規営業を担当し、現在は新卒採用活動、新規事業の検討、戦略の立案などに注力している。
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